「大事に、大事に、
気持ちを込めて書く。
それだけです」
受け取る側にとっては、たったひとりのお位牌。
だから、毎日手を合わせる方が嫌な気持ちにならないよう、
丁寧に、心を込めて筆を入れます。
秋田県指定伝統工芸士
蒔絵師(二代目)
父が始めたこの道に入り、四十余年。
高校卒業後、福島での厳しい修行時代を経て、伝統工芸士としての誇りを胸に、日々漆と金粉に向き合っています。
「修行時代はつらい中にも楽しみを見つけながら、ひとつずつ積み重ねてきた日々でした」
そう語るその節くれ立った指先から、温かみのある文字が生まれます。
仕事への想い
手書きにこだわる理由は?
時代はデジタル化されましたが、手書きには書き手の気持ちが込められています。 機械彫りにはない「良さ」が必ずあると信じています。四十年間続けていても、文字を書くことはいつまでも難しいものですが、だからこそ日々努力を惜しみません。
大切な道具と材料について
筆、国産の漆、そして金沢から仕入れる金粉。 良い材料を使うのは当たり前ですが、やはり最後は「腕一本」だと思っています。 受け取る側の気持ちになりきって仕上げるよう、常に自分を律しています。
忘れられない仕事はありますか?
かつて手がけた寺院の天井蒔絵も大きな経験でしたが、一番は、お客様から直接お礼のお電話をいただいたことです。 自分の書いた文字が、誰かの心の支えになっていると感じられる時、この仕事を続けてきて良かったと心から思います。
職人の世界
「伝統工芸を絶やしてはいけない」
地元の子供たちに技術を伝える活動も大切にしながら、
今日も一筆に魂を込めます。